Googleが描くモビリティの未来
Googleが、欧州自動車大手のフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)と自動運転車を共同開発すると発表したようです。
Googleは2010年頃から自動運転車の研究を続けており、一昨年にはハンドルもアクセルもついていない車の映像を公開しています。
このGoogleがついに大手自動車メーカーと組んだことで、並み居る競合他社との競争をより激化させていきそうですね。
ただ、ある意味”車が全て”であるトヨタや日産と違い、Googleは膨大なIoT(Internet of Things)のネットワークの中の一機能として自動運転車に取り組んでいるにすぎません。
つまり自動運転車は、猛スピードで構築中の巨大なGoogle帝国の一つのコンテンツにすぎないということです。
安倍総理も2015年11⽉5⽇に、2020年に東京オリンピック・パラリンピックでの無⼈⾃動⾛⾏、⾼速道路での⾃動運転を実現するため、2017年までに制度・インフラ整備を指示しているように、この日本でも自動運転車の導入に向けて急速に動き出しています。
なんと4年後には普通に自動運転車が走っているということですねー
となると、私たちのモビリティの概念も大きく変わっていくのではないでしょうか?
先ほどのGoogleが2.5億ドルも出資している「Uber(ウーバー)」という会社があります。
Uberは、普通の人々が自分の車を使ってドライバーになり、客を取って目的地まで届けるという新手のライド・シェアのサービスを提供しているのですが、低料金で、場所によってはタクシーよりも便利なうえ、オンデマンドで車がやって来て、自分の目の前に横付けされるという高級感も味わえるということで、世界中で人気を博しているのです。
インターネット上のしくみを利用して、一般人が一般人相手に商売し、誰もがちょっとした空き時間にお小遣いを稼ぐことができるようになったというのも画期的なことです。
ここにGoogleが”出資”という形で絡んでいるというのがミソです。
これは私の予測ですが、数年後にはこのライド・シェアがAIを搭載した自動運転車によって行わるようになると思います。
スマートフォンのアプリで簡単に無人自動車を呼び出せて、しかもタクシーよりも格安で安定したサービスを受けることが出来ます。
ここで、Googleの自動運転車が使われるようになると考えたらどうでしょうか?
Googleの車を購入した人は、車を運転していない時には、自分の車が勝手にタクシーとなって稼いできてくれるとしたら??
そもそも、一週間の内に車に乗っている時間など平均してみればたかが知れています。ほとんどがどこかしらの駐車場に止めているのではないでしょうか?
普通だったらただ止めているだけの時間に、勝手にタクシーやっていくらかでも稼いできてくれたら嬉しくないですか?
Googleがそのような付加価値も売りにして車を販売し出したら、従来の自動車メーカーはどう思うのでしょう?
これがGoogle帝国のパワーの一つだと思います。
様々な最先端技術に早い段階から出資し、個別に研究も重ねながら、全体の絵においては全ての要素がつながり合ってシナジーを生み、すさまじい付加価値創造につながっていくことまで考えているのがGoogleだと思うのです。
これからの時代は過去の延長線上で経営をしていても通用しません。
それは個人も企業も国家も同じことです。
ルールが変わる!
変わるのであれば、過去の常識をいかに速く捨て去ることが出来るのか!?
過去をリセットし、全く新しい未来から思考を出発できること。
それが、これからの時代に活躍できる人材、企業、国家の条件ではないでしょうか。