3Dプリンタ革命がもたらすもの
2013年、アメリカのオバマ大統領が一般教書演説の中で、3Dプリンタについて言及しています。
「3Dプリンタは、あらゆるモノづくりに革命を起こす!」
あれから3年、いよいよこんなニュースが出るようになってきました。
多国籍企業であるシーメンスが開発したクモ型ロボット「SiSpis」(シースパイス)はなんとそれ自体が3Dプリンタであるというのです。
このSiSpisが何十、何百という数で、例えば船舶の船体などを3Dプリント技術で作り上げるんだそうです。
これには驚きましたねー
3Dプリンタそのものであるロボットが、チームプレイしながら大型の船舶を製造してしまうんですよ!?
いよいよモノづくりの現場に人間が不要な時代が到来したのだと実感しました。
3Dプリンタは1980年代からモノづくりの現場で活用されてきましたが、近年急速に進化し、一般家庭にも普及しつつあります。
昨年には、移植用臓器の技術開発に日本政府が25億円の支援を表明するなど、世界各国政府レベルも3Dプリンタの研究、開発、利活用に力を注ぐようになってきました。
ネット通販やビデオ・オンデマンドを中核事業とするDMM.comは、新たに3Dプリンタ出力サービスを始めるなど、データがあれば即座に自分のオリジナルの物を生産出来てしまうということで、新しい形のビジネス利用も広がってきています。
驚いたのが、3Dプリンタを所有している人たちのプラットフォームがすでに形成されていることです。
例えば、iPhone所有者はApp Storeで気軽にアプリを購入することもできますし、自分の作ったアプリを販売することもできます。
これがAppleが構築したプラットフォームなわけですが、これの3Dプリンタバージョンがアメリカを中心に構築されています。
つまり、自分が作成した、例えば靴やアクセサリーやフィギュアの写真をプラットフォーム上で公開し、それらを見た人が気に入ったモノのデータを提供者から購入することが出来るというシステムです。
データを購入した人は、それを自宅の3Dプリンタで出力することで情報を物体化、3次元化するのです。
このようなシステムが今後持続的な進化、発展を遂げ、また世界中に普及していったとしたら未来社会はどうなるのでしょうか?
昨今、話題の物流革命。
昔は注文からトラックを使って3日かけて配送していたのが、物流拠点を地域に分散することで、最近は2日や当日にまで配送時間を縮めてきました。
さらに、Amazonなどはドローンを活用することで、ネットで注文した商品が30分後には届くといったピザの宅配並みの配送スピードを実現しようとしています。
そして、情報化社会においては、注文と同時に届く商品もあります。
それが、音楽や電子書籍です。
やりとりしているのは情報だけですから、トラックも配達人も、ドローンすら必要ありません。
今後、あらゆるモノがデータでやり取りされるようになり、3Dプリンタの性能が向上することでどんなものでも出力できるようになるとしたら、将来物流の概念そのものが変わりかねないなと思っています。
現在でも、鉄製品も作れるし、家だって3Dプリンタで作れてしまうのですから・・・
こうして、モノづくりの生産、流通、販売のプロセスにほとんど人が介在しない未来が創られていきます。
産業社会が構築してきた、企業が生産、流通、販売するというプロセスが、情報化社会の進展によって完全に破壊されていくのがこれからの時代でしょう。
生産、流通、販売のパートを今までのような大企業に依存せず、すべて個人ができてしまう時代が情報化社会です。
3Dプリンタはとても便利である反面、危惧されている面も多々あります。
例えば、3Dプリンタで殺傷能力のある銃を作成して、発砲までできてしまったというニュースがありました。
結局、人間が開発した道具、それを使う側の”人間””に対して言及しなければならなくなるということです。
このようにテクノロジーが進歩すればするほど、人間教育に重きが置かれるように必ずなっていきます。
倫理、道徳、精神性の面は当然のこと、機械が今まで人間が担ってきた生産活動を代替していくならば、人間とは何もので、何をすべき存在なのかという哲学的命題に対しても議論していかなければなりません。
ここで一つだけ言及しておくならば、「意識空間の開発」が今後重要な課題になるというこです。
3Dプリンタとは、頭の中にあるイメージが即、現実世界に出力できる時代を創ってしまった画期的な道具です。
人間によるモノづくりでは生産不可能だったモノも、3Dプリンタでは実現できます。
出力はすべて機械がやってくれるならば、人間がやる事は入力だけです。
つまり、今まで人類歴史上になかった革新的なイメージ、アイデアを意識空間上で生み出し、機械に入力するまでのプロセスに重きが置かれる時代になるということでしょう。
それは意識空間を開拓するという意味でもあります。
過去のイメージに固定されていて、新しい概念を生み出すことの出来ない人材はこれからの時代、あまり活躍できないかもしれません。
過去に縛られず、過去蓄積してきたイメージを自由にばらしたり、くっつけたりできること。
新たに多くの情報を収集し、速いスピードで整理整頓出来ること。
また他人との活発なディスカッションを通して異質なイメージ同士を結び付けて、新しい概念を生み出せること。
そのようなプロセスを蓄積しながら、意識空間を開発していきます。
ただ、意識空間を終わりなく、かつスピード速く開発するためには道具が必要です。
スマートフォンなど今まで開発された道具は全て出力、結果の世界です。
作られたものを享受する世界でした。
3Dプリンタは出力、結果を生み出す手助けとなる新しい道具です。
しかし、入力、創造を手助けする道具は今までありませんでした。
人間の無限のクリエイティビティ、創意性を爆発させることが出来る道具、
それがイメージ言語であり、イメージ言語を活用する技術を認識技術と言います。
3Dプリンタまで生まれてしまった現代において、次に必要とされる道具、技術こそイメージ言語、認識技術であると思っております。
それはまさにIT以降の新産業を切り開く、日本発の全く新しい道具であり、未来技術です。
その認識技術とIT以降の新産業、半導体以降の新素材のお話をさせて頂くイベントが5月に大阪あります。
足をお運び頂けたら嬉しく思います。