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尊厳City研究所 大川ともゆきのブログ

不老不死について考える

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前の記事で、ユヴァル・ノア・ハラリ氏の著書

「ホモ・デウス」を引き合いに、人類集団の向かう方向性について考えました。

 

songen-city.hatenablog.com

 

人類は21世紀、神のごとき人類=ホモ・デウスになろうとするだろうという予測を展開しているハラリ氏ですが、神のごとき人類の一つの要素として

 

不死の獲得

 

が挙げられています。

 

「死なない人間」

 

そんなこと実現可能なのでしょうか?

 

何と、科学技術のアプローチから、真剣に不死を研究している人たちもいるのです。

 

2013年9月、Googleは、老化と病気に取り組む医療ベンチャーCalico(キャリコ)を旗揚げし、本気で不老不死の実現への取り組みをはじめました。

 

途方も無い挑戦のように思えますが、近年のテクノロジーの進化速度を見るにいつの日か実現するのでは?と思う観点もあります。

 

米国人でブルック・グリーンバーグさんという方がいました。

 

2013年に20歳の若さで亡くなられたそうですが、

何とその方

 

1歳の頃でほぼ成長が止まり、そのまま20歳まで年を重ねたというのです!!

 

見た目はどう見ても1歳児、脳も1歳児のままで、言葉も喋れない

 

特に脳に問題が発見されたわけでもなく、遺伝子以上が見つかったわけでも無い

 

成長が止まった=老化しない

 

ということ。

 

なので、人類最大の謎の一つである老化の原因と不老のメカニズムがわかるかもしれないと非常に注目をされていた人だったのです。

 

しかし、気管支軟化症という子供が多くかかる呼吸器障害でこの世を去りました。

 

当時のコンピュータの処理能力では、なぜ老化しないのかの原因までは発見できませんしたが、2020年ごろに運用スタート予定のエクサバイトスケールのスーパーコンピュータであれば、おそらくその謎を解明できたと言われています。

 

ということは、不老のメカニズムを解明し、それを何らかの形で再現可能にする方法論は見つけることが可能であるということです。

 

つまり、我々は老化せずに、いつまでも若々しく生きることができる可能性があるということなんです!

 

そういう意味では、その延長上に不死の実現もありえるかもしれません。

 

一方、不死に対する別のアプローチもあります。

 

2005年に始まった、ヒューマン・ブレイン・プロジェクトという世界130大学共同で行っているプロジェクトがあります。

 

同プロジェクトの目的は、人間の脳に関するこれまでの研究成果を結集し、スーパーコンピューターを用いて、脳の詳細なモデルやシミュレーションをひとつひとつ再構築することです。

 

このように組み立てられた脳のモデルは今後、人間の脳の働きや疾患の解明の手掛かりとなりうると同時に、計算科学やロボット工学の革新的な技術発展に寄与する可能性を秘めています。

 

このプロジェクトの本質は、脳型コンピュータ

すなわち、脳のような並列的情報処理を可能とするようなコンピュータを生み出すことでもあります。

それが可能になれば、本当の意味でのAI(人工知能)が実現することでしょう。

 

今のコンピュータの処理速度では到底実現することはできませんが、今後10年、20年と先を見据えたときに、どこかの時点で、人間の脳を完璧にシミュレートできるまでにコンピュータの性能が上がったとき、私たちの脳の情報処理をすべてコンピュータ上にコピーすることが可能になるという話があります。

 

生物的肉体、あるいは生物的脳はどうてもやがて朽ちていきます。

しかし、精神体の自分が情報化されてコンピュータの中で生き続けることができるとしたら、それは永遠に生きることも可能では無いかということです。

 

このような形での不死の実現という未来もありうるようです。

 

このように、コンピュータの性能に依存したテクノロジーの進化は、あらゆる問題を解決していくかに見えます。

 

しかし、人間が情報的存在となり、ネットと繋がってどこまでも情報的存在の自分が広大に広がった時、人間をどう定義すれば良いのでしょうか?

 

どこからどこまでが自分と言えるのでしょうか?

 

このように、

 

「そもそも人間とは何なのか?」

 

という哲学的命題に必ず突き当たることになります。

 

自分が何者かも定義できず、情報体として生き続ける未来の人類の姿は、私たちが真に望む姿なのでしょうか?

 

ここで東洋に目を転じて見たときに、

2500年前、釈迦は人間の本質についてこのように触れています

 

「不生不滅」

 

すなわち、本当の人間は、生まれてもいないから死ぬこともない

諸行無常諸法無我

このように定義しているのです。

 

このような東洋の叡智に、今着目すべき時ではないかと思います。

 

聖徳太子もこのように語っています。

 

「世間虚仮 唯仏是真」

 

世間、すなわち現実世界とは虚であり仮である

要は現実は幻だということです

 

そして、ただ仏のみ実在している、それが真であると言っています

 

仏とは、釈迦が言った不生不滅の世界と同じと考えられます。

 

人間の本質は、今この瞬間、無条件で不老不死

そのことを認識して生きることができるのです。

 

何にも囚われない

死の恐怖すらも超克できる不動心の境地

 

21世紀はそのような不老不死を”認識”できる尊厳そのものの人類へとアップグレードする時であると考えています。

 

それを、宗教、思想、哲学のレベルではなく、

科学的に再現可能な技術を通して実現していくのです。

 

それが認識技術 nTech

 

長い人類歴史において、ついに人間が死からの解放を実現する時代が訪れたということです。

 

 

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