nTechで理解するティール組織②~衝動型パラダイム~
「衝動型パラダイム」について5つの角度から解析していきたいと思います。
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衝動型パラダイムの前段階として、
書籍では「受動的パラダイム」と「神秘的パラダイム」について触れられています。
この段階は、まだ人間に明確な分離エゴ意識というものが芽生えてません。
時間感覚も、過去や未来という概念はほとんどなく、”今”に生きています。
当然、組織体系のような明確な秩序もなく、動物の群れと変わりありません。
死という概念もないので、簡単に人も殺してしまう、まさにカオス状態。
その状態から、どのように組織や秩序がつくられていったのでしょうか?
①欲求レベル
まず、このパラダイムの中心的欲求は、マズローの欲求段階説を引用するならば、
「生理的欲求」のレベルですね。
すなわち、生命を維持したい欲求ということです。
昔の人類は、今のように秩序ができているわけではなかったので、
生きていくのも大変だったわけです。
地震や火山の爆発、台風など、自然は人間に大変厳しいものです。
さらに、食べ物も狩猟、採集に頼らなければならない時代には、
何とかして、獲物を狩ったり、木の実を採らなければなりません。
あるいは、集団として生き残るためにも、多く子どもを残そうとする本能も強くあったことでしょう。
このように、食欲、性欲などを中心とした、生き伸びたい欲求が蓄積されることで、
様々な進化が人類にもたらされていきます。
②人間の意識レベル
欲求は人間に意識の進化を促します。
すなわち、明確な自他の分離意識が無い状態から、
他者からも環境からも異なった存在としての自己認識、
すなわち、分離エゴ意識が誕生するのです。
この体が自分というエゴ意識が生まれることで、
部分という概念、全体の中での役割という概念が生まれます。
生き延びるという共通の目的のもと
役割分担しながら分業するなど、他人と協力しながら、
狩猟したり、採集したりするようになります。
分離エゴ意識が生まれることで、
分離感からくる不安感、恐怖感などを感じるようになりますね。
ですから、現代人の根底にも分離感からくる不安、恐怖が根深く息づいているのです。
明確なヒエラルキーまでは生まれないものの、奴隷制など格差はつくられます。
③新しい技術
人間の意識レベルの進化は、新しい発見や発明につながります。
衝動型パラダイムにおいては、基本的に採集や狩猟で生き延びます。
そんな中、いかに効率よく獲物を狩るのかという思考から、
石槍や石斧など、道具が開発されていきますね。
それら道具を活用しながら、狩猟技術が進化していきました。
しかし、採集や狩猟生活では食糧が安定せず、非定住型の生活を繰り返すしかありませんでした。
よりもっと安定的に食糧を得たい欲求から、やがて原始的な農耕技術が発明され、徐々に定住型の暮らしができるようになっていくのです。
このように、非定住のノマド生活から定住型の集落生活へと変化できたのは、
農耕技術の発明によるブレイクスルーがあったからなのです。
④組織システム
このような欲求、意識レベル、技術に基づいてつくられた組織形態が
「衝動型組織」です。
ティール組織の書籍ではRED組織と色でも表現をしていますね。
RED組織は、採集・狩猟社会から農業社会への移行期において誕生していますが、
現代においても、このようなタイプの組織はあると言います。
例えば、マフィアやギャングなどにみられるのだそう。
RED組織の特徴を整理すると、
1.強力な上下関係がある小規模で支配的な集団
2.対人関係に力を行使し続け、恐怖によって他の構成員を従わせる
3.正式な階層も役職もなくトップのリーダーシップに依存した組織形態
4.衝動的で計画性がないので組織としては脆弱
5.内戦や国家の破綻などの混沌とした環境にへの対応力は高い
⑤文明社会
RED組織によって実現したのが、採集・狩猟時代末期の定住型社会であり、
原始的な農業社会ということになります。
このように、
欲求、意識レベル、技術、組織、社会はすべて連動しています。
このような要素から各パラダイム、各時代、そして現代を俯瞰して観てみると
未来社会の要素が浮き彫りになってくるでしょう。
次回は、順応型パラダイムについて解析していきます。