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尊厳City研究所 大川ともゆきのブログ

nTechで理解するティール組織③~順応型パラダイム~

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今回はティール組織に至る2段階目のパラダイム

「順応型パラダイムについて5つの角度から解析していきたいと思います。

 

全体像についてはこちら
songen-city.hatenablog.com

 

 

①欲求レベル

 

衝動型パラダイムにおける中心的欲求は、「生理的欲求」のレベルでしたね。

すなわち、生命を維持したい欲求ということです。

 

その欲求が農業社会への移行によってある程度満たされると、

次の新たな欲求段階へと進むことになります。

 

順応型パラダイムにおける中心欲求は「安全欲求」です。

これは、より安全、より安定を求める欲求のことで、

健康の維持であったり、経済的安定であったり、脅威を未然に防止することを求めたりします。

 

農業社会が発展していくと、集落から村になり、村が都市国家へと成長していきます。

すると、人口も増えてくるため、国民の生活の安定を考えるようになり、食糧確保のためにも領土拡大を目論むようになります。

 

そのようにして、他国の領土を侵略したり、あるいは侵略から自国の領土を守るという世界に突入していくのです。

 

②人間の意識レベル

 

安全欲求は人間に意識のさらなる進化を促します。

衝動型パラダイムは、分離エゴ意識が生まれたばかりで、かなり自己中心的な生き方が当たり前でした。

しかし、順応型パラダイムでは、他者の感情やモノの見方を理解できるようになり、他者の意見に左右されるなど、関係性を重視するようになります。

 

順応型パラダイムの特徴を整理すると

1.自己中心主義から自民族中心主義へ、集団からはじき出されないようにする

2.ニュートン的世界観、すなわち因果関係が理解でき、長期計画が立てられる

3.正しい世界を成り立たせる法則に基づき「正しい」「正しくない」で判断

4.社会階級、厳格な男女差別など階層化しやすい

5.先進国社会における今日の成人人口の大半がこのパラダイムに従っている

 

 

 

③新しい技術

 

衝動型パラダイムにおいて、原始的な農業が開始されましたが、

道具などほとんど使わない単純農法に依存していたところから、

順応型パラダイムでは、農耕技術が進化し、大規模農業ができるようになります。

 

自然の力を味方につけ、稲作、牧畜、漁労などが発展していくことで、多くの人を養えるようになります。

 

道具も進化し、例えば鉄を加工する技術によって、鉄製の鍬などが発明され、開墾能力が向上しました。

 

 鉄の加工技術は、武器の開発にもつながり、銅製の武器から鉄製の武器への進化は軍隊の戦闘力にも大きな影響を及ぼしました。

自然界の物質を、人間にとって有益な物へと変化させる技術の進化があってこそ実現できたことです。

 

④組織システム

 

このような欲求、意識レベル、技術に基づいてつくられた組織形態が

「順応型組織」です。

ティール組織の書籍ではAMBER組織とも表現をしています。

 

AMBER組織は、主に産業革命以前の農業社会において活躍した組織形態ですが、

現代においても、大半の政府機関、公立学校、宗教団体、軍隊などはAMBER型組織と言えるようです。

 

AMBER組織の特徴を整理すると、

1.長期的視点を持ち、中長期で計画を立てられる

2.プロセスの適用によって、過去の経験を未来に複製できる

3.秩序の維持と前例踏襲を何よりも重視し、変化には疑いの目が向けられる

4.縄張り意識によって自律的であろうとし、外の世界を必要としない

5.堅固なピラミッド構造で、上意下達型の命令系統により規模を拡大できるが、人々は実質的に交換可能な資源であり、個人の才能の承認も開発もない

 

⑤文明社会

 

順応型パラダイムの欲求、意識レベル、技術、組織によって実現した社会が、

農業社会、都市国家、本格的な人類文明であり、

制度や官僚制、そして、宗教による秩序形成の社会でした。

 

中世ヨーロッパなどは、ローマ・カトリック教会による純粋キリスト教支配によって、人間理性が抑圧され、暗黒時代などと呼ばれることもありました。

 

あるいは、絶対王政士農工商など、明確なヒエラルキーによって、市民の自由が抑圧されるような社会であり、そのような抑圧エネルギーの蓄積し、やがて反転します。

西洋からルネサンスが起こり、人間理性の開花から科学技術が発展したり、フランス革命に代表されるような市民革命が起きていくようになるのです。

 

次回は、「達成型パラダイム」について解析しています。